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選挙関連用語集

Caucus (党員集会)

 集会、特に政治や機構の変革を目指す人びとの集まりを指す。米国の大統領選挙政治の中では、大統領候補指名の過程における、各政党の政治活動家の集会を意味する言葉となった。「階層化された」党員集会制度の下では、まず投票区レベルで地元の党活動家が、郡の党員集会に出席する代議員を選び、その代議員が郡の党員集会で州の党大会に出席する代議員を選出する。さらに、州の党大会で全国党大会への代議員が選出される。こうした党員集会制度の目的は、各州の政党の党員がどの大統領候補を好んでいるかを代議員の選択を通じて示すことにある。どの候補が好ましいかが実質的に投票区レベル、つまり指名プロセスの最初の段階で決まるため、大統領候補の指名の民主化という効果がある。

Coattails (コートテール、便乗人気)

 「コートテール」とは、紳士用フロックコートの後ろのすそのこと。米国の政治では、人気の高い公職者または候補者が、同じ政党に属する他の候補者を、自分の人気に便乗させて、当選の可能性を高める力のことをいう。そうした人気のある候補は、別の候補を「コートテールに乗せて」当選させる、という。

Conservative (保守派)

 その政治的意見が中道のやや右寄りから確固とした右寄りまでの人のこと。米国の2大政党では、共和党が一般的に保守的傾向がより強いと考えられている。米国での「政治的」保守派は、自由市場経済原理と低い税金を支持し、州政府や地方自治体ではなく、連邦政府の権限に不信感を抱く。「文化的」保守派は妊娠中絶や大衆向けメディアの行き過ぎに否定的な場合がある。

Convention (党大会)

 州または全国レベルでの政党の代議員大会。これらの代議員は、自党の指名を獲得してもらいたい候補者に投票し、指名された候補者は他の政党の候補者と一般選挙で争うことになる。現代の米国大統領選挙政治では、「党大会」は通常、4年ごとに開かれる民主党と共和党の全国大会を指す。全国大会では米国全州、コロンビア特別区、米国の海外領土(自治的未編入地域等)の代議員が出席し、正式に大統領候補が指名される。

Convention Bounce (コンベンション・バウンス、大会後の人気上昇)

 共和党または民主党の全国党大会の直後に、大会で指名された大統領候補の世論調査における支持率が上昇すること。

Debate (討論会)

 ある問題について、異なる立場を取る2人以上による議論。近年、米国の政治では、討論会というと、大統領候補または副大統領候補全員が参加し、報道関係者や聴衆からの質問に対して、各自の意見および各所属政党の意見を述べるテレビ討論会を指すことが多い。討論会には、ラジオ放送によるものや、地域の集会所で行われるものもあり、大統領・副大統領候補だけでなく、あらゆる公選職の候補者の討論会がある。

Delegate (代議員)

 所属政党の党員により選ばれ、全国党大会あるいは州党大会に出席する正式な代表。

Democratic Party (民主党)

 現在の2大政党の1つ。とりわけ1930年代初期以降、民主党は通常、裕福でない人びとの政党と考えられ、経済・社会分野において連邦政府が積極的な役割を担うことを支持してきた。

Divided Government (分割政府)

 一般に、大統領の所属政党と、連邦議会の少なくとも1院(上院か下院)で過半数を占める政党とが異なる状況をいう。州政府においても、州知事の所属政党と州議会の多数党とが異なる場合がある。米国の政治制度では、分割政府が頻繁に誕生する。歴史的に見ると、分割政府は、極端な変化を抑制し、両党の政治家が法案について妥協することを促す効果がある。

Electoral Base (選挙基盤)

 政治家の「選挙基盤」はその選挙区の中心と考えられている。すなわち、政治的情勢にかかわらず大抵その政治家に投票する人びとのことである。他の国では、「選挙基盤」を「票田」と呼んでいるところもある。

Electoral College (選挙人団)

 米国の大統領選挙で投票する有権者の多くは、自分たちが大統領の直接選挙に参加していると考えている。しかし、理論的にはそうではない。なぜなら、18世紀の憲法の名残である選挙人団制度が存在するからである。選挙人団とは、各州で党員によって指名される「選挙人」の一団である。選挙日には、特定の候補に投票すると誓約しているこれらの選挙人が一般投票で選出される。選挙人は、大統領選挙後の12月に各州の州都に集まり、投票によって大統領と副大統領を選出する。大統領に選出されるには、270の選挙人票が必要である。

Federal Election Campaign Act (FECA) (連邦選挙運動法)

 連邦選挙資金は1971年連邦選挙運動法 (FECA) およびその修正条項(1974、1976、1979年)に管理されている。同法は、候補者や政治委員会に資金の調達先(資金源)および使途について公表することを義務づけており、連邦選挙運動中に受け取った寄付と支出に関して規制を設けており、大統領選挙についての公的資金も管理している。

 なお資金調達については、「2002年超党派選挙改革法 (The Bipartisan Campaign Reform Act of 2002)」、通称「マケイン・ファインゴールド法」により、候補者や政党等に対する献金額の上限が改定され、また、政党に対するソフトマネー献金が禁止されることとなった。この法律のもう1つの特徴は、いわゆる「意見広告」の制限である。

Federal Election Commission (連邦選挙管理委員会、FEC)

 連邦選挙管理委員会 (FEC) は、1971年連邦選挙運動法の1974年修正条項により設立された。連邦選挙資金法 (Federal Campaign Finance Law) を管理執行する役割を担う独立規制機関。

Front-loading (前倒し)

 一般選挙に先立つ各州の党員集会や予備選挙の日程を早めていくことを「前倒し」という。各州は、予備選挙の日程を早めることによって、1人か2人の候補に決定的な勢いを与え、各政党の指名に対して大きな影響力を持とうとする。

Front-runner (フロントランナー、最有力候補)

 選挙または指名プロセスにおいて、最も人気があるか、最も勝利の可能性が高いと見なされている候補者。

Gender Gap (ジェンダー・ギャップ、性差)

 最近の選挙において、米国の女性は男性と比べて異なる投票行動をとるようになった。すなわち、往々にして共和党より民主党の候補者、または、よりリベラルな立場を取る候補者を好む傾向がある。マスコミはこの現象を「ジェンダー・ギャップ」と呼んでいる。

Hard Money / Soft Money (ハードマネー / ソフトマネー)

 連邦選挙資金法によって規制される選挙資金と、そうでないものを区別するために使われる用語。ハードマネーは連邦法によって規制され、選挙の結果を左右するのに使うことができる。つまり、特定の候補者が選出されるのを支持するために使うことができる。ソフトマネーは連邦法の規制を受けず、連邦選挙の候補者の選出に影響を与えない活動にのみ使うことができる。すなわち、有権者登録促進、政党育成活動、運営費、州や地方選挙の候補者の援助などである。

Horse Race (ホースレース、競馬)

 選挙戦のことをいう比ゆ的な表現。人びとがスポーツを観戦するときのように興奮する様子を表している。また、マスコミによる選挙報道を指す場合もある。マスコミは、各候補の意見を取り上げるより、彼らが競走馬であるかのように、世論調査の人気の順位を強調することが多いからである。

Independent (無党派、無所属)

 米国政治において、投票の登録をする際に、民主・共和両党または他の政党への所属を表明しない有権者、あるいは政党の党員ではないと考えている有権者を意味する。また、政党ではなく、個人の信条を基盤に立候補する候補者も意味する。

Liberal (リベラル)

 米国の政界において、「リベラル」は、中道のわずか、もしくは、いくぶん左寄りであると言われている。この言葉の現在の定義を、2大政党の中で見ると、民主党員がよりリベラルであると考えられている。「政治的」リベラルは、目に見える社会の不公平を是正するために、連邦政府の権限強化を支持する傾向がある。「文化的」リベラルは、どちらかといえば、女性の出産を選択する権利やフェミニズム、同性愛者の権利など、個人の選択や行動の自由を支持する。

Matching Funds (マッチングファンド)

 大統領候補者が個人から集めた資金と同額の資金を公的資金から受け取ることができる制度。予備選挙の期間中に、有資格候補者は個人から受けた各献金につき、最高250ドルを受け取ることができる。

Midterm Election (中間選挙)

 4年間の大統領の任期の2年目に行われる上下両院の議員選挙。選挙結果は当該大統領の実績に対する国民投票と解釈されることがある。中間選挙では、上院議員の一部と下院議員の全員、および多くの州と地方自治体の公職者が選出される。

Negative Ads (中傷広告)

 ある候補に投票するよう有権者を説得するために、対立候補の人格や実績を攻撃して、対立候補の印象を悪くすることを目的とする広告。

Platform (綱領)

 米国の大統領選挙政治において、政党の根本方針や目標を正式に文書化したもので、大統領候補指名過程でまとめられ発表される。近年、テレビが各候補者の人格や指導力に一層焦点を合わせるようになったため、党綱領の重要性は低下した。

Plurality Rule (相対多数制)

 選挙における当選者の決定方式。相対多数とは、得票数が過半数に達しない場合でも、他のどの候補者より得票数が多いことである。例えば、ある候補の得票率が30%、別の候補の得票率も30%、そして3人目の候補の得票率が40%であった場合、3人目の候補が相対多数で当選する。

Political Action Committee (政治活動委員会、PAC)

 特定の候補者あるいは政党に所属する公式な委員会ではない政治委員会(通称PAC)。PACは法人や労働組合やその他の組織と密接な関係にあり、候補者に献金したり、他の選挙関連活動に従事したりする。ほとんどのPACは特定の立法課題を持っており、連邦議員選挙では大きな力を発揮する。近年PACの影響力やその数が大幅に増加している。PACは1976年には608団体であったが、現在では4500を超すといわれている。

Primary, Closed (閉鎖型予備選挙)

 党の候補者を選ぶ際に、その政党に登録している人だけが投票できる制度。ほとんどの州の予備選挙はこれである。

Primary Election (予備選挙)

 特定の公職についての政党の候補者を選ぶための選挙。予備選挙は、市長選、下院の各選挙区での選挙、州全体で行われる知事や上院議員の選挙、そして大統領選挙など政府のあらゆるレベルで行われる。閉鎖型予備選挙では、政党の登録党員だけが投票できる。開放型予備選挙では、ある政党の有権者が、他の政党の選挙にも投票できる(クロスオーバー投票者と呼ばれる)。大統領候補者の予備選挙は州レベルで行われ、その州の州民が誰に各政党の候補者になってほしいかを示す。州の法律にもよるが、有権者は候補者、もしくは全国党大会でその候補者への支持を誓約した代議員へ直接投票する。州の予備選挙は、もしそれが選挙シーズンの早い時期であるなら、優勢な大統領候補者を抑え、知名度の低い候補者への支持を急増させることもある。ここで留意すべきは、予備選挙は、「党員集会」による候補者の選択システムに替わるものであるということである。

Primary, Open (開放型予備選挙)

 党の候補者を選ぶ際に、他の政党に登録した有権者や「無所属」の有権者も投票できる制度。「クロスオーバー」予備選挙とも呼ばれる。

Protest Vote (抗議票)

 2大政党の候補に対する不満を表明するために、当選の望みがほとんどないことを承知の上で、第3党または小政党の候補に投じられる票。

Public Funding (公的資金)

 米国財務省管理下の資金によって、大統領選挙運動を部分的に援助する資金。資金源はすべて納税者が毎年連邦所得税を納入するときに任意に行う寄付によって賄われる。(Taxpayer Check-Off System「納税者チェックオフ制度」を参照)

Push Polling (プッシュ調査、「誘導」世論調査)

 世論調査の手法。争点や候補者について具体的な質問をすることで、予想される選挙運動のテーマを分析するために使われる。悪意のある選挙活動では、誤った情報や誤解を与えるような情報を質問に入れることにより、有権者を誘導し、対立候補から遠ざける手法が使われることもある。

Realignment (再編成)

 米国政治における「再編成」とは、世論や有権者の関心事に時折起こる変化により、いずれかの政党の伝統的支持基盤が、弱体化または強化されることを意味する。通常、国政選挙で多数党と少数党が入れ替わることを意味する。A党に投票していた有権者グループがB党に投票するようになった場合、その変化を再編成または党派再編成という。

Redistricting (選挙区改正)

 各州における連邦議会下院の選挙区の地理的な境界線を引き直すこと。民主党も共和党も各州の選挙区改正の法的・政治的な支配権を得ようとする。通常、州議会の多数党が選挙区改正を支配し、支配権を得た政党は、自党に有利なように選挙区を改正することができる。

Regionalization (地域化)

 米国の50州は、非公式に6地域に分けられる。大統領予備選における「地域化」とは、各地域内の州同士が協力し、予備選挙を同日に行うなどの手段によって、選挙プロセスにおけるその地域の影響力を高めようとすることである。

Republican Party (共和党)

 米国2大政党の1つ。20世紀において、共和党は一般に、富裕層で保守的な有権者の党であり、民主党の政策よりもどちらかと言えばそれほど再配分的でない経済・社会政策を支持してきた。

Single-member District (小選挙区制)

 米国の連邦議会議員および州議会議員の現行の選出方式で、各選挙区から1議員が選出されるシステム。最高得票数を得た候補者が選出される。小選挙区制では、1選挙区につき1政党の候補しか当選できない。これは、はるかに広い選挙区から、所属政党の得票数に応じて、1度に複数の候補者が当選する比例代表制とは、正反対のシステムである。

Sound Bite (サウンドバイト)

 短く、引用しやすい候補者の発言で、ラジオやテレビのニュース番組で繰り返し放送されるもの。

Spin Doctor/Spin (スピン・ドクター / スピン)

 スピン・ドクターとは、選挙運動で、候補者に関する報道がいかなる状況においても最も望ましいものとなるようにする、報道対策アドバイザーあるいは政治コンサルタントのこと。例えば、大統領候補討論会の後で、各候補のスピン・ドクターが報道陣に接触し、討論でその候補が優れていた点を指摘することによって、その候補が討論に「勝利」したことを報道陣に、そしてひいては国民に印象付けようとする。こうした報道対策アドバイザーの技術を、状況または出来事に対する「スピン(情報操作)」と呼ぶ。

Straw Poll (ストロー調査、[投票前の]非公式世論調査)

 現代の大統領選挙政治において、通常、候補者選びの早い時期に政党の活動家たちの間で行われる拘束力をもたない投票。これは、どの候補者がその地方の政党グループに支持されているかを示すためである。

Stump Speech (スタンプ・スピーチ、遊説演説)

 候補者の「標準的な」演説のこと。通常、少し変えただけで使う可能性が最も高い演説。

Super Tuesday (スーパーチューズデイ)

 1988年より「スーパーチューズデイ」という言葉が広く使われ始めた。1988年3月9日、南部のいくつもの州がまとまり、初めて大規模で効果的な地域一体の予備選挙が行われた。これは南部の諸州が大統領候補指名選出で持つ重要性を高め、早期に投票が行われるニューハンプシャー州の予備選挙やアイオワ州の党員集会の影響力を弱めるためでもあった。 

 現在では、この言葉の意味はあいまいになっている。これは、大統領予備選挙期間中、予備選挙を行うさまざまな地域でいくつもの州がまとまって、ある火曜日(ないしは複数の火曜日)に予備選挙を行なう場合があるからである。こういった、地域または多くの地域のグループは、それがどういう名称で呼ばれるにしても重要な意味をなす。なぜなら大規模で同時に行われる投票は、多数の党大会代議員が同時に選出されるため、大統領候補になる可能性のある候補の運命を左右する傾向があるからである。 

 今回(2004年)の大統領選挙では、カリフォルニア州やニューヨーク州を含む、多くの州が3月2日に予備選挙を行う。

Taxpayer Check-off System (納税者チェックオフ[寄付申し込み]制度)

 米国の納税者が、年間の連邦所得税を収める時に3ドルを大統領選挙用の公的資金として寄付することを選べるシステム。寄付を行うには、納税者は納税申告書にこのシステムに参加したいという項にチェックマークを入れるだけで良い。寄付を行うことにより、個人の税額が増減することはない。大統領選挙運動資金のために税額から3ドルを寄付するだけである。(Public Funding、「公的資金」を参照のこと)

Third Party (第3政党)

 第3政党とは、20世紀の米国政治を支配してきた共和党と民主党の2大政党以外の政党のことである。

Ticket Splitting (分裂投票)

 同じ選挙で、例えば大統領は民主党候補、上院議員は共和党候補というように、異なる政党の候補者に投票すること。同じ政党の候補者のすべてに投票しないので、票を「分裂」させるという。

Town Meeting (タウンミーティング、市民討論会)

 公職者または候補者が、地域の人びととともに集まり、打ち解けた雰囲気の中で、聴衆が直接質問をすることのできる、形式ばらない集会。

Tracking Survey (追跡調査)

 選挙運動期間を通じて、候補者が有権者の意見を「追跡」することができる世論調査。まず、世論調査会社が3晩続けて、同数の有権者の聞き取り調査を行う。例えば、毎晩400人ずつ、合計1200人にインタビューする。4日目の晩には、さらに400人の調査を行い、その回答を調査データに加え、1日目の回答を削除する。このようにして、常にそれまでの3日間1200人分の回答を得ながら調査を続けていく。しばらくしてから、調査期間全体のデータを分析すると、その間に起きた特定の出来事が有権者の意見にどのような影響を及ぼしたかを観察することができる。

 

* 本用語集はUnited States Elections 2004 に掲載の、Elections Glossary を中心に、国務省が1996年と2000年に発行した用語集を加えて仮訳したものです。