◇ 研究テーマ  

              
 ご意見ご質問は 白山芳太郎 sirayama@arts.kogakkan-u.ac.jp 

◇ 研究テーマ

 日本中世文献の文献学的研究ならびに思想史的研究

 

◇ ゼミナール紹介
 テーマ:神社縁起の研究

 
  縁起は「因縁生起」の略。因縁生起とは、生が縁となって老を生じ、老が縁となって病を生じ、病が縁となって死を生ずると説かれたところから、なにがしかの縁によって新しい結果が生じることをいう。転じて「起源」の意となり、寺院創建縁起の意となる。古い縁起では、奈良時代の『元興寺縁起』や『大安寺縁起』のように、寺院創建の由来を公的に報告したものがあり、文章だけであった。こうした縁起に、本尊の利益(りやく)などが書き加えられ、痛んだ寺院修復のための寄付集めの道具となる。それなら、絵を加えたほうが目的を達成しやすいため、絵のある縁起へと移行する。信貴山寺の住僧命蓮(みょうれん)の話を書いた『信貴山縁起絵巻』や、粉河寺の本尊の利益を書いた『粉河寺縁起絵巻』のように、平安時代の縁起が絵巻様式で描かれていく。そのような一世を風靡した様式が神社へと伝播し、神社の創建や祭神の神徳などを絵と詞で示した神社縁起絵巻の誕生となる。